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野球のルール入門:ビデオ判定(リクエスト)の仕組みとは
2026年7月21日 ・ 1回閲覧
接戦の終盤、際どいクロスプレー(走者と野手のタイミングが紙一重の際どいプレー)の判定に対して、監督がグラウンドに出てきて両手で四角いモニターの形を作るジェスチャーをする場面を見たことがある人は多いだろう。あれが「リクエスト」と呼ばれるビデオ判定制度で、2018年からNPBに導入されている。結論から言うと、リクエストとは「監督が審判の判定に疑問を持ったとき、映像を使った再確認を求められる制度」のことで、1試合につき各チーム2回まで(延長戦に入るとさらに1回追加)要求できる。今回はこの制度の基本ルールと、判定が覆るまでの流れを解説する。
リクエストとは何か、基本のルール
リクエストを要求できるのは監督だけで、選手や審判が自ら申し出ることはできない。判定に疑問がある場面で監督がタイム(試合を一時停止すること)をかけた後、20秒以内にダグアウトから出てきて両手で長方形を描くジェスチャーを見せることで、正式にリクエストが発動する。回数制限は1試合各チーム2回までで、リクエストの結果、実際に判定が覆った場合は要求した回数にカウントされず、そのまま権利が残る(note「NPB『リクエスト制度(リプレイ検証)』のルール」、つばめ日和「プロ野球 リクエスト制度とは?回数やルールについても解説!」)。つまり「疑わしい判定を的確に見抜けている限り、監督は何度でもリクエストを使い続けられる」仕組みになっている。
監督が要求できる場面・できない場面
リクエストの対象になるのは、アウト・セーフの判定、フェア・ファウルの判定、本塁打かどうかの判定(フェンス際でスタンドに入ったかどうかや、観客の妨害の有無なども含む)など、映像を見れば客観的に白黒つけやすいプレーが中心だ。本塁でのクロスプレーや、外野手が本当にダイビングキャッチ(飛び込んでの捕球)できていたかどうかの確認などが代表例になる。
一方、ストライク・ボールの判定や、打者がバットを振ったかどうかを見極める「ハーフスイング(振り切ったかどうか際どいスイング)」の判定は、リクエストの対象外とされている。これらは映像で見ても「打者を打ち取るコースに来ていたか」「バットが完全に止まっていたか」といった審判の感覚的な判断に委ねる部分が大きいプレーで、あくまで球審の裁量に委ねられている。同様に、ボーク(投手の反則投球)やインフィールドフライ、走塁妨害・守備妨害の有無についても、審判の判断事項としてリクエストの対象外になっている(グラスタ「【プロ野球用語解説】リクエスト制度とは?対象プレーなどのルールは?」)。「際どいタイミングだから何でもリクエストできる」わけではなく、あくまで映像で結果を客観的に確認できるプレーに限られている点を覚えておくと、中継を見ていて監督がリクエストに動くかどうかの予想がしやすくなる。
判定が覆るまでの流れ
リクエストが発動すると、これまでは各球場に控えている審判団が控室などのモニターで映像を確認する方式が取られてきた。しかし2026年からは、NPB事務局内に新設された「リプレーセンター」で映像を一括して検証する方式に切り替わっている。リプレーセンターには現役の1軍審判員2名と映像操作を担当する専任オペレーター1名が常駐しており、全国の試合の映像確認をここに集約することで、球場ごとに判定の基準がばらつくことを防ぎ、確認作業のスピードも安定させる狙いがある(週刊ベースボールONLINE「NPBリプレーセンター運用開始 統一ベースも公式戦で使用スタート」、東京新聞デジタル「プロ野球のリプレー検証はどう変わる?」)。
検証にかけられる時間は原則5分以内で、映像を見ても確証が持てない場合は、グラウンド上の審判団が下した当初の判定がそのまま採用される。リプレーセンターでの検証結果は、球場の責任審判(その試合の判定を統括する審判)がヘッドセットを通じて受け取り、あらためて場内にコールし直す、という流れになっている。つまり、映像でひっくり返せるのは「明らかに誤審だったと確認できた場合」に限られ、微妙な場合はグラウンドでの生の判定が優先される仕組みだ。
初心者が中継を見るときのポイント
リクエストが発動すると、実際の検証には数分かかることが多く、試合が一時的に止まる。この間、映像には該当のプレーがスロー再生で何度も流されるので、初心者でも「何が争点になっているか」を確認しながら結果を待てるのが特徴だ。また、監督がリクエストを出すかどうかの判断自体にも駆け引きがある。回数に限りがあるため、際どいがおそらく覆らないだろうと踏んだ場面ではあえて要求しない監督もいれば、終盤の重要な場面では多少分が悪くても要求してみる監督もいる。判定そのものだけでなく、「なぜこの場面でリクエストを使ったのか」という監督の判断にも注目してみると、中継の見方がもう一段深まるはずだ。