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LABバリュー上位30人中11人がオールスター選外 ― 2026年、数字と選出の答え合わせ

2026年7月22日

マイナビオールスターゲーム2026は7月28日に東京ドーム、29日に富山市民球場で開催され、出場メンバーはファン投票・選手間投票・監督選抜、そして各枠決定後に行われるプラスワン投票まで、4つの選出方法すべてが出そろっている。ここで当サイト独自の総合指標「LABバリュー」(打者はOPS、投手は防御率を、リーグ平均からの標準得点で横断比較する当サイト独自の分析・試算値。NPB公式の発表数値ではない)の最新ランキング(2026年7月21日時点)の上位30人と、実際の選出結果を照らし合わせてみた。1位・佐藤輝明(阪神、LABバリュー4.41)と2位・森下翔太(阪神、3.70)はいずれもファン投票・選手間投票のダブル選出で、データと現場・ファンの評価が完全に一致している。一方で、上位30人のうち11人はオールスターに選ばれておらず、逆に選出組の中には当サイトのランキング対象にすら入っていない選手も複数いる。答え合わせをすると、そこには「同じチームに好成績の選手が集中している」「守備位置によって椅子の数が違う」といった、単純な優劣では片付けられない構図が見えてきた。

1位・2位は阪神の看板コンビ、そのまま選出

まず一致した部分から見ていきたい。当サイトのLABバリュー全体1位は佐藤輝明(阪神、OPS 1.043、LABバリュー4.41)、2位は森下翔太(阪神、OPS 0.978、3.70)。2人ともファン投票(◎)と選手間投票(☆)の両方で選ばれており、佐藤は三塁手部門、森下は外野手部門でそれぞれトップの得票を集めている。打率・本塁打といった分かりやすい数字だけでなく、出塁率と長打率を合わせたOPSでもリーグの頭一つ抜けた水準にある2人が、ファンの人気投票でも同僚選手の投票でも選ばれているという事実は、少なくともリーグを代表する打者が誰かという点について、数字と現場の見立てがずれていないことを示している。

上位30人中11人が選外 ― 目立つのは「同じチームでの椅子取り合戦」

ただし上位陣がすべて選ばれているわけではない。当サイトのLABバリュー上位30人のうち、実際にオールスターへ選出されているのは19人で、残り11人は選外だった。サンタナ(ヤクルト、OPS .883、8位)、村上頌樹(阪神、防御率2.03、9位)、正木智也(ソフトバンク、OPS .917、12位)、栗林良吏(広島、防御率1.20、13位)、山口航輝(ロッテ、OPS .927、15位)、前田悠伍(ソフトバンク、防御率1.55、22位)、隅田知一郎(西武、防御率2.27、23位)、マッカスカー(楽天、OPS .887、25位)、長谷川信哉(西武、OPS .833、28位)、ダルベック(読売、OPS .785、29位)、早川隆久(楽天、防御率2.22、30位)の11人だ。

この中で特に目立つのが、同じチームの選手層の厚さだ。阪神は今回、髙橋遥人・ドリス・大山悠輔・中野拓夢・佐藤輝明・森下翔太・坂本誠志郎と投打で計7人を送り出しており、防御率2.03と好成績の村上頌樹が入る余地は限られていた。ソフトバンクも大津亮介・オスナ・栗原陵矢・周東佑京・近藤健介・柳田悠岐とすでに6人を選出しており、打率.290・12本塁打の正木智也が割って入るのは簡単ではない構図だ。楽天も同様で、早川隆久(防御率2.22)や瀧中瞭太(防御率2.03、31位)といった好投手を抱えながら、投手の選出は藤平尚真1人にとどまっている。数字の上では上位に入っていても、同じチームに数字の近い選手がひしめいていれば、椅子の数以上には選ばれようがない、という構造がある。

加えて時期のズレも一因として考えられる。ファン投票の集計は6月28日締め切り(当サイトの最新集計より約3週間早い)、選手間投票は7月9日発表(同じく約2週間早い)と、いずれも当サイトの最新集計(7月21日)より前の時点のものだ。山口航輝は出場55試合で14本塁打というハイペースを残しているが、これは出場試合数自体がまだ多くない時期の数字であり、投票が締め切られた時点ではここまで目立つ数字になっていなかった可能性がある。サンタナのように投票時点から明確に理由が見当たらない選外もあり、これは選出漏れというより「僅差の中で選ばれなかった」という程度に受け止めるのが妥当だろう。

「捕手」「抑え投手」― LABバリューが測りきれないポジションもある

逆に、選出はされているが当サイトのLABバリューランキング(上位80人)に入っていない選手も複数いる。象徴的なのが捕手だ。ファン投票で選ばれた古賀優大(ヤクルト)はOPS換算で.615ほど(出塁率.302、長打率.313)、選手間投票で選ばれた坂本誠志郎(阪神)は打率.199と、打撃成績だけを見ればリーグ平均を下回る。それでもファンや同僚選手から支持を集めているのは、LABバリューが対象にしていない「守備・リード面の貢献」を含めて評価されているからだと考えられる。当サイトのLABバリューは打者の打撃成績(OPS)だけを標準化した指標であり、捕手としての守備・盗塁阻止・投手陣とのコミュニケーションといった価値は含んでいない。捕手というポジションの評価軸が、そもそも打撃指標とは別物であることを示す好例だ。

抑え投手も似た事情がある。ヤクルトのファン投票選出・キハダは投球回29.7回で、当サイトのランキングが対象とする「投球回30以上」という最低ラインにわずかに届かず、ランキングの対象外になっている。防御率2.73・21セーブという実績があっても、対象人数が足りないだけでランキングに載らないという、成績の良し悪しとは別の理由での「圏外」だ。西武の岩城颯空(監督選抜、防御率4.15、投球回26)も同様に投球回の壁の手前におり、こちらは防御率自体もリーグ平均に届いていないが、18セーブを記録するクローザーとしての実績が評価されての選出だろう。LABバリューが投球回で重みづけをしている以上、規定に届かない小さいサンプルの投手を公平に比較する設計にはなっておらず、抑え投手はこの物差しが最も不得意とする役割の一つと言える。

プラスワン投票 ― 「今季の数字」とは違う評価軸で選ばれる枠

読売の坂本勇人と、ソフトバンクの柳田悠岐は、いずれもプラスワン投票で選出されている。坂本は今季ここまで44試合出場・打率.152、柳田も77試合出場・打率.257とOPS換算で.724ほどで、当サイトのLABバリューランキング上位80人には入っていない。プラスワン投票はそもそも、その年の打撃成績だけを競う枠ではなく、これまでの実績やファンの支持を踏まえて選ぶ特別な仕組みだ。両選手とも通算成績・タイトル獲得歴でNPBを代表してきた選手であり、今季の数字だけを切り取って評価する当サイトのLABバリューとは、最初から測ろうとしているものが違う。数字の上での比較対象にはならないが、これは選出の妥当性を疑う話ではなく、指標の守備範囲の外側にある評価軸だと理解しておきたい。

まとめ ― LABバリューは「一つの物差し」であって、選出の正解ではない

今回の答え合わせで分かったのは、LABバリュー上位の選手が概ねオールスターに選ばれている一方で、両者が完全には一致しないという当たり前の事実だ。一致しない理由の多くは「同じチームに実力伯仲の選手が集中していた」「投票の集計時点がランキングより早かった」「LABバリューが打撃成績・防御率のみを対象とし、守備やリードの価値、キャリア全体の実績を含んでいない」といった、指標の設計や選出制度の仕組みに由来するものであり、選ばれなかった選手の実力が劣っているという意味では全くない。サンタナや村上頌樹、正木智也、栗林良吏らは、いずれも今季ここまで数字の上でリーグ屈指の成績を残している選手たちだ。オールスターという檜舞台に立つ22人・立たない22人という結果は、あくまで限られた枠と複数の選出方式が組み合わさった末のものであり、LABバリューという一つの物差しだけで優劣を決められるものではない。

この記事についてのお断り

本記事で使用した「LABバリュー」は、打者はOPS(出塁率+長打率)、投手は防御率をもとに、リーグ平均からの標準得点(z-score)で算出する当サイト独自の分析・試算値であり、NPB公式の発表数値ではない。守備・走塁の貢献、対戦相手の強さ、球場補正は考慮しておらず、打席数100・投球回30未満の選手はランキングの対象外としている。算出方法の詳細は当サイトの「算出方法について」ページを参照してほしい。オールスターゲームの選出は、ファン投票・選手間投票・監督選抜・プラスワン投票という4つの異なる仕組みが組み合わさっており、当サイトの独自指標と一致しない結果が出ることは、選手個々の実力や貢献を否定するものではない。本記事で取り上げた選手はいずれも今季ここまで高い水準の成績を残しており、選出の有無にかかわらずその実績には敬意を払いたい。数字・選出結果は2026年7月21日(LABバリュー)・7月22日(選出メンバー)時点のものであり、その後の追加発表や変更が反映されていない場合がある。