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ヤクルトvs DeNA、セ・リーグ3位争いの「中身」 ― 順位はほぼ並走、しかしEloは最下位と3位で真逆 当サイト独自試算で見る乖離

2026年8月16日 ・ 執筆: 佐野健一(サノケン)

Point

2026年8月8日時点のセ・リーグ順位表では、3位東京ヤクルトスワローズ(45勝53敗1分・勝率.459)と4位横浜DeNAベイスターズ(44勝52敗3分・勝率.458)の勝率差はわずか0.001、ゲーム差は同じ9.5で並んでいる。

目次
  1. 01まず確認しておきたいこと ― CS3位争いの意味
  2. 02順位表はほぼ並走 ― まずは事実関係の確認
  3. 03ピタゴラス勝率で見ると、評価は逆転する
  4. 04143試合換算で見ると、差はおよそ16勝分
  5. 05当サイト独自のEloレーティングでも、評価は真逆
  6. 06直近の勢いもDeNAに分がある
  7. 07それでも順位表ではヤクルトが上にいる、という事実
  8. 08まとめ ― 「僅差の3位争い」は、中身まで僅差とは限らない
  9. 09この記事についてのお断り

2026年8月8日時点のセ・リーグ順位表では、3位東京ヤクルトスワローズ(45勝53敗1分・勝率.459)と4位横浜DeNAベイスターズ(44勝52敗3分・勝率.458)の勝率差はわずか0.001、ゲーム差は同じ9.5で並んでいる。ところが得失点差から算出する当サイト独自の指標を見ると、この2チームの「中身」はまるで逆の顔をしている。ピタゴラス勝率はDeNA.506に対しヤクルト.391で11.5ポイントの差、当サイト独自のEloレーティングに至ってはDeNA1492.7に対しヤクルト1387.9と、セ・リーグ6球団中DeNAは3番目、ヤクルトは最下位という評価の開きがある。順位表だけを見れば「僅差の3位争い」だが、数字の中身を見ると、決して同じ立ち位置の2チームではない。

まず確認しておきたいこと ― CS3位争いの意味

セ・リーグでクライマックスシリーズ(CS)に進出できるのは上位3球団のみで、これは当サイトのCS出場条件の解説記事でも触れている通り、4位とのゲーム差がどれだけ小さくても4位以下は出場できないという明確な線引きがある。8月8日時点で1位阪神(54勝43敗1分)・2位巨人(53勝44敗2分)は3位ヤクルトに9.5ゲーム差をつけて独走に近い状態にあり、当サイトの優勝確率シミュレーション(2026年8月10日時点の試算)でも阪神64.1%・巨人35.9%とこの2球団でほぼ100%を占める。つまりセ・リーグの実質的な最大の焦点は、「3位」という最後のCS切符を誰が持つかに移っている。その3位を巡ってヤクルトとDeNAが1ゲーム差以内でせめぎ合っているのが現状だ。CSの制度自体や順位決定のルールについては、当サイトのCS新ルール解説CSアドバンテージの解説記事も参考にしてほしい。

順位表はほぼ並走 ― まずは事実関係の確認

順位

チーム

成績

勝率

ゲーム差

3位

東京ヤクルトスワローズ

45勝53敗1分

.459

9.5

4位

横浜DeNAベイスターズ

44勝52敗3分

.458

9.5

2026年8月8日時点のこの数字だけを見れば、両チームはほぼ完全な横並びだ。勝率差は小数点第3位でようやく現れる程度で、ゲーム差も同じ9.5。順位表という一つの物差しだけを見る限り、「3位争いは五分五分の大接戦」という印象を持つのが自然だろう。しかし、この先で見る得失点データは、そのイメージとは異なる姿を映し出している。

ピタゴラス勝率で見ると、評価は逆転する

ここで断っておきたいのは、以下で扱うピタゴラス勝率・Eloレーティングは、いずれもNPB公式の発表数値ではなく、当サイトが得点・失点や試合結果をもとに独自に算出している試算値だという点だ。得点・失点・勝敗という事実関係自体は公式記録に基づくが、そこから導く指標の計算式は当サイト独自のものであり、参考値として捉えてほしい。

ピタゴラス勝率は、シーズンの総得点と総失点の比から「得失点差の実力なら本来これくらい勝てているはず」という期待勝率を導く指標だ。8月8日時点でDeNAは390得点385失点(得失点差+5)で、ここから算出されるピタゴラス勝率は.506。対するヤクルトは303得点378失点(得失点差-75)で、ピタゴラス勝率は.391にとどまる。その差は11.5ポイント。実際の勝率がほぼ並んでいるのとは対照的に、得失点差から見た「実力」には大きな開きがあるという計算だ。

チーム

得点

失点

得失点差

ピタゴラス勝率

実際の勝率

差(pt)

横浜DeNA

390

385

+5

.506

.458

-4.8

東京ヤクルト

303

378

-75

.391

.459

+6.8

DeNAは得失点差から見た実力(.506)に対し、実際の勝率(.458)がそれを4.8ポイント下回っている。僅差の試合をやや落とし気味で、「中身の割に勝ちきれていない」状態と言える。一方のヤクルトは真逆で、得失点差から見た実力(.391)を実際の勝率(.459)が6.8ポイントも上回っている。得点303・失点378という得失点差-75は、実はセ・リーグ6球団の中で最も苦しい数字だ。最下位に沈む広島(得失点差-59)よりもさらにマイナス幅が大きい。それでもヤクルトが3位につけているのは、僅差の試合をものにする形で勝率を押し上げてきた結果だと数字の上では説明できる。

ポイント
ピタゴラス勝率と実際の勝率のズレは、必ずしも「実力不足」や「幸運だけ」を意味するものではない。ブルペンの踏ん張りや小技の効果で接戦を拾い続けているケースもあれば、単に僅差の勝負に恵まれているだけのケースもある。ただ、これまでの当サイトの分析では、こうした乖離は長期的には縮小していく傾向が見られることが多い。

143試合換算で見ると、差はおよそ16勝分

この差を実感しやすい形に翻訳してみる。それぞれの勝率が143試合(NPBのレギュラーシーズン試合数)続いたと仮定した場合の目安ペースは次の通りだ。

チーム

基準

143試合換算ペース

横浜DeNA

実際の勝率(.458)

65勝78敗前後(借金13程度)

ピタゴラス勝率(.506)

72勝71敗前後(貯金1程度)

東京ヤクルト

実際の勝率(.459)

66勝77敗前後(借金11程度)

ピタゴラス勝率(.391)

56勝87敗前後(借金31程度)

実際の勝率だけを143試合換算すると、DeNA(65勝78敗前後)とヤクルト(66勝77敗前後)はほぼ同じペースになる。しかし得失点差から見た「地力」のペースに置き換えると、DeNAは貯金1程度のペースまで浮上する一方、ヤクルトは借金31程度まで沈む。その差はおよそ16勝分。もちろんこれは現在の得失点ペースがそのまま続いたと仮定した場合の目安の試算であり、残りシーズンの結果を予測するものではないが、「順位表がほぼ並んでいる2チーム」の中身に、これだけの開きがあるという点は押さえておきたい。

当サイト独自のEloレーティングでも、評価は真逆

対戦相手の強さを加味したパワーランキングであるEloレーティング(当サイト独自の試算、全球団の初期値は1500)を見ても、同じ構図が確認できる。8月8日時点のセ・リーグ6球団のEloは次の通りだ。

順位

チーム

Elo

1

阪神タイガース

1514.0

2

読売ジャイアンツ

1507.4

3

横浜DeNA

1492.7

4

中日ドラゴンズ

1491.6

5

広島東洋カープ

1434.9

6

東京ヤクルト

1387.9

順位表で3位につけているヤクルトのEloは、セ・リーグ6球団の中で最も低い。最下位に沈む広島(1434.9)よりもさらに47ポイント低く、DeNAとの差は104.8ポイントにも開いている。一方のDeNAは、順位表こそ4位だが、Eloで見ればセ・リーグ3番目の実力評価であり、首位阪神・2位巨人に次ぐ位置につけている。順位表の「3位・4位」という並びと、Eloが示す実力の序列は、この2チームに関してはほぼ入れ替わっている状態だ。

直近の勢いもDeNAに分がある

目下のモメンタムにも差が出ている。直近10試合はDeNAが6勝4敗、ヤクルトが3勝7敗。ヤクルトは7月31日から8月2日にかけて阪神に3連敗、続く8月4日から6日にかけて中日に3連敗と、この記事のデータ基準日である8月8日にかけて6連敗を含む苦しい期間を過ごしており、唯一勝てたのは8月7日の巨人戦(1-0)だ。対するDeNAは8月4日から7日にかけて阪神に2連勝1敗、広島に1勝と勝ち星を重ねている。得失点差の実力(ピタゴラス勝率・Elo)、直近の勢い(直近10試合)のいずれで見ても、現時点ではDeNAの方が上向きという評価になる。

それでも順位表ではヤクルトが上にいる、という事実

ここまで見てきた指標はいずれもDeNA優位を示しているが、それでも8月8日時点の順位表ではヤクルトが3位、DeNAが4位という事実は変わらない。CSの出場権は最終的に順位表の順位で決まるものであり、得失点差やEloがどれだけ乖離を示していても、実際の勝敗を積み重ねなければ順位は動かない。ヤクルトにとっては、この「実力以上に勝ってきた貯金」をどこまで守り切れるかが今後の焦点になる。逆にDeNAにとっては、得失点差やEloが示す実力を、実際の勝率にどれだけ変換できるかが3位浮上のカギになる。当サイトの優勝確率シミュレーションでは、両チームともに8月10日時点で優勝確率0.0%という試算になっているが、これはあくまで1位争いに対する数値であり、3位を巡るCS争いの行方とは別の話であることは付け加えておきたい。

まとめ ― 「僅差の3位争い」は、中身まで僅差とは限らない

2026年8月8日時点のセ・リーグ3位争いは、勝率・ゲーム差だけを見れば紙一重の大接戦だ。しかし当サイト独自のピタゴラス勝率・Eloレーティングという「中身」の指標を重ねると、DeNAは得失点差・実力評価のいずれでもヤクルトを上回っており、直近の勢いも上向いている。一方のヤクルトは、得失点差で見ればセ・リーグで最も苦しい数字を抱えながら、僅差の試合をものにする形で3位という順位を守ってきたチームだ。順位表という一つの物差しだけでは見えてこない、この「中身の差」が今後どちらの方向に収れんしていくのか。残りおよそ44試合(143試合制、8月8日時点で両チームとも99試合消化)、セ・リーグ最後のCS切符を巡る争いの見どころは、勝敗の積み重ね以上にこの乖離の行方にある。各球団の最新の優勝確率・タイトル争いの試算は、当サイトのチームページタイトル争いページでも随時更新している。

この記事についてのお断り

本記事で示したピタゴラス勝率・Eloレーティング・優勝確率は、いずれもNPB公式の発表数値ではなく、当サイトが独自に算出・試算している指標である。得点・失点・勝敗・ゲーム差・直近10試合の成績といった事実関係は公式記録に基づくデータだが、そこから導く期待勝率、パワーランキング、143試合換算での「貯金・借金ペース」の目安、優勝確率は、あくまで当サイト独自の分析・試算であり、NPB公式や他機関の発表とは異なる。順位表・ピタゴラス勝率・Eloレーティングは2026年8月8日時点、優勝確率は2026年8月10日時点の当サイトの試算に基づく。143試合換算の数字は、現在の得失点ペースがそのまま続いたと仮定した場合の参考値であり、今後の故障者の状況や戦力の変動、対戦カードの巡り合わせなどは反映されていないため、残りシーズンの結果を予測・保証するものではない。本記事は東京ヤクルトスワローズ・横浜DeNAベイスターズいずれの球団や選手を序列づけたり揶揄したりする趣旨のものではなく、両チームの健闘に敬意を払いつつ、データのスナップショットを複数の角度から伝えることを目的としている。

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佐野健一

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佐野健一(サノケン) ・ プロ野球LAB 編集長・データアナリスト

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