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勝敗表は「同着」なのに優勝確率は逆転 ― 阪神67.3%→48.9%、巨人32.7%→51.1%に何が起きたか

2026年7月22日

7月21日試合終了時点で、阪神タイガースは48勝38敗1分・勝率.558、読売ジャイアンツは48勝38敗2分・勝率.558。勝率は小数第3位まで完全に一致し、ゲーム差も0.0。順位表だけを見れば文字通りの同着状態だ。ところが当サイト独自のシミュレーション(1万回試行のモンテカルロ法、詳細は/about/methodology参照)が算出する優勝確率は、阪神48.9%・巨人51.1%と巨人がわずかに上回っている。しかもこの数字、わずか2日前の7月19日時点では阪神67.3%・巨人32.7%と大差で阪神優位だった。勝敗表がほぼ動いていないのに、確率だけが1日でひっくり返った――この記事では、その中身を数字で追ってみる(本記事のデータは2026年7月21日試合終了時点。優勝確率・ピタゴラス勝率・Eloレーティングはいずれも当サイト独自の試算値であり、NPB公式発表ではない)。

逆転が起きた「その日」を特定する

まず当サイトが日次で記録している優勝確率の推移を並べてみる。7月19日は阪神67.3%・巨人32.7%。ところが7月20日には阪神48.6%・巨人51.4%と一夜にして主役が入れ替わり、7月21日も阪神48.9%・巨人51.1%とその形が維持されている。逆転はピンポイントで7月19日から20日にかけて起きている。

同じ期間の実際の試合結果を確認すると、7月19日は阪神が広島に4-2で勝ち、巨人も中日に6-1で勝利。両者とも白星を積み重ね、この時点では阪神が47勝37敗1分(勝率.560)、巨人が46勝38敗2分(勝率.548)と1.2ポイントの差があった。ところが7月20日、阪神はDeNAに0-7と完敗。一方の巨人は広島に3-1で勝利した。この1日で阪神は47勝38敗1分(勝率.553)、巨人は47勝38敗2分(勝率.553)と、勝率がぴたりと並んでしまう。7月21日は阪神がDeNAに2-1、巨人が広島に11-5とそれぞれ勝ち、48勝38敗のまま並走が続いている。つまり「阪神の1敗」が、両チームの通算成績を数字上完全に横並びにした瞬間、シミュレーション上の優位も入れ替わったということになる。

なぜ「互角」なのに巨人がわずかに上回るのか

当サイトのシミュレーションは、各チームの通算勝率をもとに「log5法」という手法で残り試合1試合ごとの勝率を推定し、それを1万回シミュレートして優勝チームになった回数を数える仕組みだ。通算勝率が完全に並んだ以上、本来なら確率も50%対50%に近い値に収束してもおかしくない。それでもわずかに巨人が上回るのは、残り試合の「対戦相手の中身」に差があるためだ。

7月21日時点で当サイトのシミュレーションが参照する直近の日程を見ると、阪神・巨人ともに残り5試合。しかもそのうち3試合は、7月24日から26日にかけて甲子園で行われる両チームの直接対決だ。残り5試合のうち3試合が同じ相手同士というのは、それだけでこのカードの決着が優勝争いの帰趨をほぼ決めることを意味する。

問題は残る2試合。阪神は7月22日にDeNA、7月31日にヤクルトと対戦する。巨人は7月22日に広島、7月31日にDeNAと対戦する。つまり両チームともDeNAとは1試合ずつ当たるため、実質的に差がつくのは「阪神×ヤクルト」対「巨人×広島」の1試合分だけだ。7月21日時点の勝率はヤクルト.471、広島.407で、ともにセ・リーグ下位(広島は5位、最下位は中日)。ヤクルトの方がやや勝率が高い。わずかな差ではあるが、通算成績が完全に並んだ状態でこの1試合分の相手の強さの違いがそのまま反映されると、シミュレーション上は巨人がほんの少し優位に立つ、という結果になる。

言い換えると、今回の逆転は「巨人が阪神より強い」という判定が下されたわけではない。勝敗がまったくの互角になったところに、残り試合のスケジュールという「順位表には現れない変数」が働いた結果、僅差ながら確率の天秤が巨人側に傾いた、というのが実態に近い。なお当サイトのシミュレーションは対戦カードごとの通算勝率だけを見ており、本拠地開催かどうかによる補正は加えていない。7月24日からの3連戦がすべて甲子園(阪神主催)であることによる影響は、この試算には含まれていない点も付け加えておく。

ピタゴラス勝率とElo、別の角度から見える「差」

優勝確率シミュレーションとは独立に、当サイトは得失点から算出する期待勝率「ピタゴラス勝率」と、対戦相手の強さを加味したパワーランキング「Eloレーティング」も試算している。これを見ると、勝率が並んだ両チームの中身は実はかなり対照的だ。

阪神は327得点272失点、得失点差+55でセ・リーグ屈指の得失点バランスを持ち、ピタゴラス勝率は.591。しかし実際の勝率.553はそれを3.8ポイント下回る。得失点の規模から見れば本来もう少し勝ち星が伸びていてもおかしくない内容で、僅差の試合を落とす頻度がやや高い可能性を示す数字だ。対する巨人は275得点276失点とほぼ五分の得失点差ながら、実際の勝率.553はピタゴラス勝率.498を5.5ポイント上回る。得失点の規模だけで見れば互角以下の内容を、勝負どころで拾って勝ち星に変えている形だ。Eloレーティングも巨人1530・阪神1509と、対戦相手の強さを加味した評価では巨人がやや上回っている。

これらの指標は当サイトの優勝確率シミュレーションには直接組み込まれていない、あくまで実績ベースの分析値だが、方向性としては「通算成績は並んでいても、内容面では巨人にやや分がある」という今回のシミュレーション結果と矛盾しない結果になっている。ただし、こうした乖離は時間の経過とともに縮小に向かう傾向があるとされることもあり、阪神の得失点の強さが今後の勝率に跳ね返ってくる余地は十分に残っている。

結局、7月24日からの3連戦がすべてを動かす

野球評論家の高木豊氏は自身の動画で「日程と本拠地を考えると、巨人が有利になる」との見方を示し、阪神は雨による中止が多い一方で巨人は東京ドームを本拠地とするため試合消化のペースを作りやすい点を理由に挙げている(出典:Yahoo!ニュース(J-CASTニュース)しらべぇ)。これは当サイトのシミュレーションが根拠とする「残り対戦相手の強さ」とは別の理由だが、結論の方向性――僅差の局面で巨人にわずかに分があるという見立て――は当サイトの試算とも重なる。

とはいえ、両チームの通算成績は48勝38敗で完全に並び、優勝確率も48.9%対51.1%と2.2ポイント差にすぎない。これは事実上のコイントス圏内の数字であり、7月24日から26日にかけて甲子園で行われる3連戦の結果次第で、確率は再びどちらにでも転がり得る。順位表の上では動いていないように見えても、その裏側では両チームの選手たちが積み重ねてきた1試合1試合の中身が、確かに優勝争いの行方を左右し始めている。当サイトの優勝確率は毎日更新される試算にすぎないが、今後も日々の数字の動きを追いかけていきたい。