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野球のルール入門:伝令(マウンド訪問・タイム)の回数制限とは
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2026年7月28日
ピンチの場面で、捕手やコーチがベンチからマウンドへ駆け寄って投手に声をかける「伝令」。この場面が何度も続くと、その投手はまもなく交代する合図だと感じたことがある人は多いのではないだろうか。実はこの感覚は正しい。プロ野球には伝令(投手交代を伴わないマウンド訪問)の回数に明確な制限があり、しかも「同じ投手のもとへ、同じイニング中に2度目の伝令」を送った時点で、その投手は自動的に交代しなければならないという規定になっている。今回はこの回数制限の中身と、高校野球との違いを整理する。
そもそも「伝令」とは何を指すのか
「伝令」とは、監督やコーチがベンチからマウンドへ出向いて、投手や捕手に指示を伝える行為を指す。ここでポイントになるのが、回数の対象になるのはあくまで監督・コーチによる訪問だという点だ。捕手や内野手同士がマウンドに集まって作戦を確認するだけの場面は、この回数制限とは別の扱いになる。さらに細かい点として、すでに選手同士でマウンド上の話し合いが始まっているところに、後から監督やコーチが合流したとしても、それは新たな1回としては数えられない、という運用になっている(週刊ベースボールONLINE「守備側チームがマウンドに行くが、その回数に制限はある?」)。中継で「もう捕手がマウンドにいるのに、そこへ監督まで出てきた」という場面を見ても、それが伝令のカウントとしては1回分にとどまるのは、こうしたルール上の理由による。
NPBの基本ルール――9イニングで1チーム4回まで
プロ野球(NPB)では、投手交代を伴わない伝令は、9イニングにつき1チームあたり4回までと定められている。延長戦に入った場合は、それとは別に1イニングにつき1回の伝令が追加で認められる(NPB.jp「2025年度 野球規則改正」)。この回数はもともと6回までとされていたが、2020年度の規則改正で5回に、さらに2025年度の規則改正で4回に、と段階的に減らされてきた経緯がある(前掲NPB.jp記事)。1試合を通じて伝令をどれだけ「温存」しておくかも、終盤の継投采配における一つの駆け引きになっている。
同一投手への「2度目」は交代を強制するルール
この回数制限の中でも特に実戦の采配に直結するのが、「同一イニングに同じ投手のもとへ監督・コーチが2度目の伝令を送った場合、その投手は自動的に交代しなければならない」という規定だ。1イニングの中でまず1回目の伝令を送って様子を見て、それでも状況が改善せず、同じ投手のところへもう一度伝令を送るとなれば、その時点で投手交代が強制される。この規定があるため、監督が2度目にマウンドへ足を運ぶ(あるいはコーチを向かわせる)かどうかは、「この投手を代える」という決断そのものとほぼイコールの意味を持つ。ベンチが伝令を送るタイミングと回数を見ていると、采配側がどこまでその投手を引っ張るつもりなのかが透けて見えてくる。
高校野球との違い
高校野球でも、伝令によるタイムの回数制限が採用されている。日本高等学校野球連盟によれば、高校野球における伝令は攻撃側・守備側それぞれ「1試合につき3回まで」と定められており、延長戦(タイブレーク)に入った場合は、それとは別に1イニングにつき1回の伝令が追加で認められる(日本高等学校野球連盟「マウンドに集まれる回数がプロ野球より少ないのはなぜ?」)。つまり「9イニングで4回まで」というプロ野球の基準に対し、高校野球は「1試合3回まで」と、試合単位の回数そのものがプロより少なく設定されている。なお高校野球には2024年から、タイムを伴わずに捕手や内野手が投手に声をかける行為を「1イニングにつき1回、1人だけ」に制限する別のルールも導入されているが、これは伝令(タイムを伴うマウンド訪問)の回数にはカウントされない、あくまで別建ての規定である点には注意したい(前掲・日本高等学校野球連盟)。
継投采配ともつながる話
伝令の回数制限は、単なる手続き上のルールにとどまらず、継投(試合の途中で投手を交代させていくこと)の采配そのものと深く結びついている。当サイトの別記事「継投・ブルペン運用の考え方入門」でも触れている通り、継投のタイミングは投手の状態や打者との相性などいくつもの材料を踏まえて判断されるが、伝令の回数という制約がある以上、監督は「今マウンドに行く価値があるかどうか」を毎回天秤にかけている。伝令の回数を使い切ってしまえば、それ以降は投手交代を伴わずに状況を確認する手段がなくなる、という点も采配の緊張感を高める要素の一つだ。
中継を見るときのポイント
ピンチの場面で伝令が送られたら、まずそれが今日何回目の伝令なのか、そして同じ投手のもとへの伝令として何回目なのかを意識してみるとよい。同じ投手のところへ2度目の伝令が送られた瞬間は、規定上その投手の交代がほぼ確定した瞬間でもある。伝令という一見地味な場面にも、明確な回数のルールと、それを踏まえた采配側の駆け引きが隠れている。
この記事についてのお断り
本稿は、当サイトが独自に算出している優勝確率やLABバリューといった試算値とは無関係の、NPBの一般的なルールを解説する記事である。本文中で紹介したプロ野球における伝令の回数制限(9イニング4回まで、延長戦での追加、6回→5回→4回という段階的な変更の経緯)はNPB.jp「2025年度 野球規則改正」を、同一投手への2度目の伝令で交代が強制される規定・選手同士の話し合いへの監督/コーチの合流が新たな回数として数えられない扱いは週刊ベースボールONLINE「守備側チームがマウンドに行くが、その回数に制限はある?」を参照した。高校野球における伝令の回数制限(1試合3回まで、2024年からの声掛け制限)は日本高等学校野球連盟「マウンドに集まれる回数がプロ野球より少ないのはなぜ?」を参照した。
