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才木浩人、奪三振はリーグ独走も防御率は10位 ― 本人が掲げる「1点台」「200奪三振」に必要な条件

2026年7月24日

結論から言う。阪神・才木浩人は2026年シーズンここまで16登板・97回1/3を投げ、7勝4敗、奪三振120という数字を残している(2026年7月22日データ更新時点)。奪三振はセ・リーグ全投手の中で断トツの1位で、2位の髙橋遥人(同じ阪神、107個)に13個差をつけている。一方の防御率は2.77で、当サイト独自集計の規定投球回到達投手ランキングでは12人中10位にとどまる。才木自身はメディアの取材に対し、防御率を1点台に、奪三振を200個程度に乗せたいという目標を語っており、いわゆる「防御率&奪三振の二冠」を意識した発言も伝えられている。奪三振は独走状態にある一方で、防御率のほうは本人が掲げる基準にもチームメートの数字にもまだ届いていない。この差がどこから生まれているのか、投球内容から探ってみたい。

甲子園で見せた奪三振能力 ― セ・リーグ記録に並んだ16K

才木の奪三振能力を象徴する試合が、4月7日の甲子園・ヤクルト戦だった。8回を投げて105球、5安打3失点ながら16奪三振という内容で、1試合の奪三振数としてはセ・リーグ記録に並んだ。この記録は巨人の金田正一、阪神OBの江夏豊、広島の外木場義郎ら8人が保持していたもので、球団の大先輩と肩を並べたことになる(日本経済新聞、デイリースポーツなど複数媒体が報道)。球数105球でなお9回のマウンドに上がれば記録更新の可能性もあったが、9回は湯浅京己が登板し、才木は8回で降板。藤川球児監督は試合後、記録がかかっていることを把握していなかったことを明かし、謝罪する場面もあった。結果的に記録更新こそならなかったが、それだけの奪三振を1試合で奪える力を持っている投手だということは、この一戦だけでも伝わってくる。

さらに6月30日の中日戦(甲子園)では、4年連続となるシーズン100奪三振に到達した。阪神の投手が4年連続で100奪三振を記録するのは、7年連続を達成した能見篤史以来。高卒右腕に限れば、2013~2016年に達成した藤浪晋太郎以来のことだという(デイリースポーツなど複数媒体の報道)。球団史に名を刻む投手たちと並ぶ実績を、才木は現在進行形で積み重ねている。

球種配分の変化 ― スライダーの精度が上がっている

才木の投球の基本設計は、最速150km/h台に達するストレートとフォークの二本柱だ。デイリースポーツの解説記事(元阪神投手・井川慶氏)によれば、7月に入っても終盤まで球威が落ちない状態の良さに加え、試合の中盤以降にスライダーをうまく織り交ぜる「配球面での工夫」が見られるという。

スポーツデータメディアSPAIAが2024年に公開した分析記事によれば、才木は前年と比較してスライダーの投球割合を13.4%から22.6%に増やす一方、フォークの割合は23.4%から21.4%へとやや減らす、という変化を見せていた時期がある。球速面でも、ストレートの威力を保ったまま変化球側の曲がりや精度を高める方向の調整が指摘されており、スライダーの被打率も大きく改善していたという。これは今季(2026年)のデータではなく2年前の分析だが、フォークとストレートという生命線に、精度を上げたスライダーという第三の武器を組み合わせる投球スタイル自体は、才木の投球を語るうえで継続的な特徴になっていると考えられる。

防御率2.77が意味するもの ― 規定投球回到達投手の中では10位

一方で、防御率の面では話が少し変わってくる。当サイト独自に、セ・リーグで規定投球回(阪神がこれまでに消化した88試合を基準とした当サイト独自の目安であり、NPB公式の規定投球回の算出方法と厳密に一致するものではない)に達した投手を集計すると、才木の防御率2.77はリーグ12人中10位にとどまる。同じ阪神の投手陣だけを見ても、髙橋遥人が1.70でリーグ1位、村上頌樹が2.03で3位につけており、才木はこの2人よりも下に位置している(いずれも当サイト独自の分析・試算、2026年7月22日データ更新時点)。

  • 1位 髙橋遥人(阪神)防御率1.70/111回1/3/WHIP0.81
  • 2位 大野雄大(中日)防御率1.82/94回/WHIP0.86
  • 3位 村上頌樹(阪神)防御率2.03/115回1/3/WHIP0.99
  • 10位 才木浩人(阪神)防御率2.77/97回1/3/WHIP1.02

WHIP(1イニングあたりに出した走者数の目安。被安打+与四球を投球回で割った数字で、低いほど良い)で見ても、才木の1.02はリーグ上位陣の0.8~1.0前後という水準からは一歩後れを取る。与四球21個・9イニング換算1.94個、被本塁打8本・9イニング換算0.74本という数字自体は決して悪くないが、髙橋遥人や村上頌樹のような「走者をほとんど出さない」域までは届いていない、というのが数字から見える立ち位置だ。

興味深いのは、SPAIAが2024年に才木の投球を分析した記事の中で、当時の防御率・勝率・奪三振の好調さから「投手四冠(防御率・勝利数・勝率・奪三振)も視野に入る」と評されていたことだ。今季(2026年)はまだ二冠止まりだが、こうした評価が2年前から繰り返し出るほど、才木が継続して投打の中心的な存在であり続けていることがうかがえる。

当サイト独自の総合指標「LABバリュー」(打者・投手をリーグ平均からの標準得点で横断比較する分析・試算値。NPB公式の発表数値ではない)では、才木は投打全選手中で69位(値0.45、2026年7月21日時点)となっている。同じ阪神投手陣の髙橋遥人(7位、値2.36)や村上頌樹(9位、値1.86)と比べると差は大きく、奪三振の派手さに比べて、総合的な失点防止の効率という点ではまだ伸びしろがある、というのが当サイトの試算から見える評価だ。

目標達成に必要な条件 ― 当サイト独自の単純延長試算

才木は取材に対し、「防御率1点台は今季も目指していきたい」「奪三振はシーズンで200くらいは奪いたい」と語り、理想の投手像としてダルビッシュ有や山本由伸の名を挙げ、「彼らのように絶対的な存在を目指しています」と発言している(J:magazine!のインタビュー記事より)。

この2つの目標が今のペースでどこまで届くのか、ごく単純な延長試算をしてみる。阪神はここまで88試合を消化しており、143試合制のセ・リーグではシーズン消化率はおよそ61.5%にあたる。才木の奪三振120個をこの消化率でそのまま延長すると、120個÷61.5%=約195個となる。目標の200個には届かないが、かなり近い水準ではある(あくまで登板間隔や球数管理、故障リスクなどを一切考慮しない当サイト独自の粗い試算であり、実際の着地を予想するものではない点は強調しておきたい)。

一方、防御率を同じように延長すると、投球回は97回1/3÷61.5%で約158回1/3になる計算だ。ここから防御率を1点台(1.99以下)に収めるには、シーズン全体の自責点を158.3×1.99÷9、およそ35点以内に抑える必要がある。すでに自責点30を出しているので、残り約61回でさらに許容できる自責点は5点程度しかない。これは残りの登板をほぼ自責点0点台のペースで乗り切る必要があるという計算になり、達成のハードルはかなり高いと言わざるを得ない(こちらも同様に単純な延長試算であり、断定的な予想ではない)。

まとめ ― 「絶対的な存在」を目指す途上として

才木浩人は昨季、24試合に先発して防御率1.55をマークし、自身初のタイトルとなる最優秀防御率を獲得、チームのリーグ制覇にも貢献した投手だ。その実績を持つ投手が、今季さらに「1点台キープ」「200奪三振」という高い目標を自ら口にしていること自体、この投手の成長意欲の表れだと言える。奪三振では既にリーグを独走し、球種配分の変化からもその強みに磨きがかかっていることがうかがえる一方、防御率は本人の目標にもチームメートの数字にもまだ一歩届いていないというのが、当サイトのデータから見える今の姿だ。シーズン終盤にかけてこの防御率がどこまで戻ってくるか、そして200奪三振という目標にどこまで近づけるか、引き続き注目していきたい。

この記事についてのお断り

本記事で示した奪三振・防御率のセ・リーグ内順位、WHIP、規定投球回到達投手の判定基準、および「LABバリュー」は、いずれも当サイト独自の分析・試算であり、NPB公式の発表数値・順位ではありません。規定投球回の基準は阪神タイガースがこれまでに消化した試合数を目安とした当サイト独自の近似であり、NPB公式の算出方法と厳密には一致しない場合があります。奪三振・防御率の延長試算も、登板間隔や故障リスク、対戦相手の強弱などを一切考慮しない単純な比例計算であり、シーズン終了時点の実際の成績を予想するものではありません。奪三振記録・タイトル歴・過去のシーズン成績等の球史に関わる記述は、日本経済新聞、デイリースポーツ、SPAIA、J:magazine!など複数の報道・分析記事を参照し裏取りを行ったうえで記載していますが、一次資料であるNPB公式記録を直接確認したものではない点をご了承ください。