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盗塁王29-29、ホールド王30-30-28-28 大混戦なのに目立たない二つのタイトル争い

2026年8月9日 ・ 1回閲覧 ・ 執筆: 佐野健一(サノケン)

Point

優勝争いはソフトバンクの独走、本塁打王は栗原陵矢(ソフトバンク)がほぼ確定——今シーズンの大きな話題はすでに輪郭がはっきりしている。しかしその陰で、実は数字上「一番読めない」タイトルレースが二つ進行している。

優勝争いはソフトバンクの独走、本塁打王は栗原陵矢(ソフトバンク)がほぼ確定——今シーズンの大きな話題はすでに輪郭がはっきりしている。しかしその陰で、実は数字上「一番読めない」タイトルレースが二つ進行している。盗塁王は浦田俊輔(巨人)と岩田幸宏(ヤクルト)がともに29盗塁で並び、当サイト独自の試算による獲得確率は56.0%対43.8%とほぼ五分。ホールド王に至っては椋木蓮(オリックス)30、田中瑛斗(巨人)30、レイノルズ(DeNA)28、ハーン(広島)28と、上位4人が2つの数字にきれいに割れて並んでいる。地味だが、これほどの大接戦は他部門ではまず見当たらない。

盗塁王:29対29、確率56.0%対43.8%の意味

浦田俊輔と岩田幸宏の盗塁数は8月8日時点で「29」と「29」。1つの差もない完全な同数だ。当サイトが残りシーズンを1万回シミュレーションして算出した独自の獲得確率(NPB公式発表ではない試算値)では、浦田が56.0%、岩田が43.8%となっている。数字だけ見ると浦田がやや優勢に映るが、これは「五分五分よりわずかに浦田寄り」という程度の差で、コイントスに毛が生えたレベルと言っていい。裏を返せば、残り試合でどちらかが1つ、2つ余分に走塁を仕掛けられるかどうかで、この確率は簡単にひっくり返る位置関係にある。

ちなみに3番手の周東佑京(ソフトバンク)は23盗塁で、当サイト試算の獲得確率はわずか0.2%。周東ほどの実力者でも、盗塁数で6つの差がつくと逆転の目はほぼ消えるというのが、このシミュレーションが示す現実だ。29対29の首位争いがいかに際どい水準にあるかが、この数字からも逆算できる。

ホールド王:4人が2つの数字に完全に分裂

もっと珍しいのがホールド王だ。椋木蓮と田中瑛斗が30ホールドで並び、獲得確率はそれぞれ37.3%、36.0%とほぼ同着。さらにレイノルズとハーンが28ホールドで並び、獲得確率は13.8%、12.1%。上位4人の合計獲得確率は99.2%に達しており、「この4人以外が獲得する確率はほぼゼロ」という状況を示している。かつ、その4人の中でも1位と2位、3位と4位がそれぞれ寸分違わぬ数字で並ぶという、偶然にしてはできすぎた構図になっている。

ホールドという記録は、勝ちパターンで登板を続けられるかどうか、つまりチームの接戦がどれだけ続くか、監督の継投がどれだけ一貫するかに左右されやすい。本塁打のように「本人の一振り」だけで積み上がる記録ではないぶん、椋木・田中瑛斗の30対30も、レイノルズ・ハーンの28対28も、残り試合のリード状況次第で簡単に動く数字だと捉えておいた方がいい。獲得確率37.3%は「5戦して2勝弱」くらいの分布感覚で、決して「本命」と呼べるほどの差ではない。

大きな話題の裏で、実は一番拮抗しているレース

優勝争いや本塁打王のように80〜90%台の獲得確率で決着ムードが漂う部門と比べると、盗塁王とホールド王は数字の上で明確に「まだ何も決まっていない」部類に入る。特にホールド王は上位4人のうち誰が獲っても不思議ではない稀に見る混戦で、残り試合の一つひとつのリード確保、盗塁企図が、そのままタイトルの行方を左右する。派手さはないが、シーズン終盤にかけて最も目を離せない数字の推移は、実はこの二つのレースにあるかもしれない。

※本記事の獲得確率は、当サイト独自のシミュレーション(モンテカルロ法・1万回試行)による試算値であり、NPBが公式に発表している数値ではない。

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佐野健一

この記事を書いた人

佐野健一(サノケン) ・ プロ野球LAB 編集長・データアナリスト

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