Column
パは10勝で3人並走、セは11勝の髙橋遥人が独走 最多勝レースの対照的な数字
2026年8月10日 ・ 執筆: 佐野健一(サノケン)
Point
8月9日時点の最多勝レースは、セ・パでまったく違う顔を見せている。パ・リーグは前田悠伍(ソフトバンク)、加藤貴之(日本ハム)、エスピノーザ(オリックス)の3投手が10勝でぴったり並ぶ三つ巴。
8月9日時点の最多勝レースは、セ・パでまったく違う顔を見せている。パ・リーグは前田悠伍(ソフトバンク)、加藤貴之(日本ハム)、エスピノーザ(オリックス)の3投手が10勝でぴったり並ぶ三つ巴。一方セ・リーグは髙橋遥人(阪神)が11勝で単独トップに立ち、2位・井上温大(巨人)の10勝に1勝差をつけて独走している。同じ「最多勝争い」でも、片方は誰が獲ってもおかしくない大接戦、もう片方はエースが一歩抜け出した構図——この対比がそのまま今シーズンの見どころになっている。
パ・リーグ:10勝が3人、しかも前田悠伍はまだ黒星なし
パ・リーグの最多勝トップは前田悠伍、加藤貴之、エスピノーザの3人で、いずれも10勝。防御率は前田が1.75、エスピノーザが2.25、加藤が2.71と幅があり、勝ち星は並んでいても投球内容には差がある。それでも「10勝」という数字が3つそろっているという事実自体が、パ・リーグの最多勝争いの拮抗ぶりを物語っている。
中でも際立つのが前田悠伍の「10勝0敗」だ。負けがまだ一つもついていない。10勝を挙げながら黒星ゼロというのは、それだけ試合を作れている証拠であり、投げるたびにチームに勝ち星をもたらしてきたことの裏付けでもある。防御率1.75も含め、今のところ数字の上では最も安定してトップを走っていると言っていい投手だ。ただし最多勝はあくまで「勝った数」で決まるタイトルなので、この先どちらか一方が連勝して抜け出すのか、それとも3人がもつれ込んだまま終盤を迎えるのか、まだ何も決まっていない。
4番手グループも9勝で3人(北山亘基・日本ハム、八木彬・ロッテ、大津亮介・ソフトバンク)がひしめいており、トップとの差はわずか1勝。パ・リーグの最多勝は、上位6人のうち誰が最終的にトップに立ってもおかしくない、シーズン終盤まで目が離せない混戦になっている。特に八木彬は9勝0敗と、こちらも黒星なしで数字を積み上げており、前田悠伍と並んで「無敗のエース候補」としてマークしておきたい存在だ。
セ・リーグ:髙橋遥人が11勝で頭一つ抜け出す
対照的にセ・リーグは、髙橋遥人が11勝2敗・防御率1.95で単独トップに立っている。2位の井上温大(巨人)が10勝5敗、3位グループの村上頌樹(阪神)・竹丸和幸(巨人)・東克樹(DeNA)・山野太一(ヤクルト)がいずれも8勝と、髙橋との差は3勝に開いている。防御率1.95という数字も含め、現時点では最多勝レースをリードする立場が最もはっきりしている投手と言える。
ただし、2位の井上温大との差はまだ1勝。防御率も1.95対1.96とほぼ互角で、内容面での差はほとんどない。8月から9月にかけての残り試合数を考えれば、1勝差は簡単に詰まる、あるいは逆に広がる可能性もある水準だ。「独走」とはいっても安泰というわけではなく、井上が連勝すれば一気に横並びになる距離感であることは押さえておきたい。
また、3位につける4人が8勝で並んでいる点も見逃せない。村上頌樹は防御率1.86とリーグでも屈指の数字を残しながら6敗を喫しており、東克樹や山野太一も含め、勝ち星こそ伸び悩んでいるものの投球内容自体は上位陣に見劣りしない投手が並ぶ。最多勝という「勝った数」だけを見る指標では拾いきれない好投が、この3位タイの中には詰まっている。
同じ「最多勝争い」でも、リーグによって表情が違う
まとめると、パ・リーグは10勝で3人が並ぶ大接戦、セ・リーグは11勝の髙橋遥人が1勝差で先頭を走る展開と、同じタイトルレースでもリーグごとにまったく違う様相を見せている。前田悠伍と八木彬の「無敗」という数字、髙橋遥人の「1勝差の独走」、そして村上頌樹のように防御率は良くても勝ち星が伸び悩む投手の存在——最多勝という一つのタイトルの中にも、読み解くべき数字はいくつも重なっている。当サイトでは今後も日次でこれらの勝敗成績を追いかけ、レースの行方を数字で追っていく。

この記事を書いた人
佐野健一(サノケン) ・ プロ野球LAB 編集長・データアナリスト
